京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

講座:医食同源・あぶらの話2

前回は、油脂の種類と特徴についての説明をしました。今回は、脂肪酸と代謝・病気との関連性についてご紹介していきます。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸については前回ご説明しましたが、不飽和脂肪酸はオメガからの二重結合の位置により判別する他に、二重結合…

講座:医食同源・あぶらの話1

今回から新講座をはじめていきたいと思います。新講座では、普段から摂りすぎなどで頭を悩ませる「油」とがんとの関係についてご紹介していきます。油というと、みなさん何を頭に浮かべるでしょうか。実は「油」と「脂肪」という言葉には違いがあります。バ…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第19回〜

今回は最後のまとめになります。 結局、がんの住みにくい体を作るには、炎症を抑え免疫能を上げ、そしてそれらを潰さないような、何か抗がんするような物質(抗がん剤に限らないわけですが)が、がん治療には大切なのではないかと思います。 ノーベル化学賞…

がんと炎症・代謝研究会 発足記念講演会のお知らせ

このたび、一般社団法人『がんと炎症・代謝研究会』を立ち上げることになりました。つきましては、5月25日(日)京都大学医学部 芝蘭会館 稲盛ホールにて13:00 から 16:00まで第1回発足記念講演会を行います。ブログをご閲覧の皆様にお集まりいただければ…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第18回〜

今回はまとめの続きです。シュレディンガーは『命を持ったものは、いずれ灰に帰る。平衡状態から灰に帰る。我々は平衡ではなく、非平衡で、ものを取り出して排泄することで生きているので、このやり方次第で今の状態を変えることはある程度できる。健康な状…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第17回〜

今回からはまとめに入っていきます。 細胞はがん化することで代謝の異常を示します。生き延びるためにそういう性質(異常な代謝システム)を持ったものが、がんになると思って間違いないのですが、代謝は腫瘍に大きな影響を与えるので、代謝を上手にコントロ…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第16回〜

前回、運動とがんの関係についてご紹介させていただきました。今回は、乳がんについて症例を2例紹介したいと思います。 この患者さんは64歳の乳がんの方で、胸水がたまり、乳がんが自壊して潰瘍ができています。フェマーラというホルモン遮断剤と、ゾメタと…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第15回〜

前回、乳癌の方の症例をご紹介しました。ここまでで紹介した症例から、がん治療において生活習慣の改善がどれだけ重要であるかがおわかりいただけたのではないでしょうか?今回は、話を変えまして運動とがんの関係についてご紹介させていただきます。 がんの…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第14回〜

前回、糖尿病とがんの関係についてのレポートをご紹介しました。重要なことですので、あえて何度も書かせていただきますが、結局がんの住みやすい体は自分が作ったという認識をもたないと、がん治療はできません。自分の身体にできたものは、自分で作ったも…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第13回〜

前回、前々回と症例のご紹介をしてきました。症例からわかることはがんと栄養・代謝の密接な関わりです。前回の終わりにもお伝えした通り、がんはブドウ糖を非常に好むことがここまででおわかりかと思いますが、すると、がんと並ぶ慢性疾患の糖尿病との関連…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第12回〜

前回は、結腸癌多発肝転移の方の症例をご紹介しました。抗がん剤治療では好転しなかった病状が、ウルソール酸やオレアノール酸などのトリテルペン類を豊富に含む青梅エキスの摂取により好転するケースが少しおわかりいただけたかと思います。 今回も症例を紹…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第11回〜

前回、前々回とウルソール酸やオレアノール酸といったトリテルペン類の効果についてご紹介してきましたが、それらを豊富に含むのが青梅エキスです(私どものクリニックでは和歌山県の中野BCという会社から発売されている商品を使用しています)。今回は、実…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第10回〜

前回に引き続き、がん細胞の特徴の一つ、脂肪酸合成を阻害する方法についてご紹介します。 がんではないですけれど、あるマウスに移植片を移植すると、ほとんど死亡するものが、ウルソール酸を摂らせた群では、全部が死亡したわけではなく、ウルソール酸は移…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第9回〜

今回はがん細胞の特徴の一つ、脂肪酸合成を阻害する方法についてご紹介します。 ウルソール酸というものがあります。 この構造は難しい言葉でいうとテルペン類のひとつで、トリテルぺノイドと呼びます。テルペン類というのはどういうものかというと、メバロ…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第8回〜

今回は、がんの特徴の一つ、「脂肪酸合成」についてご説明したいと思います。 上記のように、がん細胞においては、油、脂肪酸というものは、がん細胞が作っていて、食事中の脂肪はほとんど使っていません。脳腫瘍のなかには、油を使って治療をするという方法…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第7回〜

前回、IGFの働きを止めるのに一つ、いい薬剤があります、とご紹介しましたが、今回はそのお話をさせていただきます。メトフォルミンというものですが、一般的には糖尿病の方に良く使われます。このメトフォルミンはビグアナイドというフレンチライラック(ガ…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第6回〜

前回、IGFを多量に取り入れるとがん細胞の増殖につながる可能性が高いということについて説明をさせていただきました。今回は、そのIGFががん細胞と関わるという証拠を紹介しながら掘り下げていきたいと思います。 これは内分泌レビューという雑誌の、『IGF…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第5回〜

前回までで、がん細胞の糖分の使い方(ワールブルグ効果)、そして溜まった酸を吐き出す仕組み(ナトリウムイオンプロトンポンプ)についてご説明しました。 これらの性質・仕組みによって、がんは生存し増殖を進めていくわけですが、がんの増殖についてもう…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第4回〜

皆様、明けましておめでとうございます。早いもので平成も26年となりました。 本年もからすま和田クリニック、そして本ブログを宜しくお願い致します。前回、がんは糖分が大好きであることについてご説明しました。 がんは糖分が大好きである一方で、糖分か…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第3回〜

あと5日ほどで2013年も終わりですが、みなさまは今年一年どんな年でしたでしょうか?来年も引き続き、京都からすま和田クリニックをどうぞ宜しくお願い致します。前回、がんと生活習慣の結びつきについて説明しました。今回は、生活習慣とがんがなぜ結びつく…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第2回〜

前回、「何でがんはできるのか?」ということについて、発生のメカニズムに迫ってみました。がんは、生活習慣の「ゆらぎ」が引き起こすと考えられるわけですが、生活習慣の「ゆらぎ」とはすなわち酒、タバコ、野菜は摂らない、肉を食べる、そういうことを指…

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第1回〜

少し間が空いてしまいましたが、今回から新講座をはじめていきたいと思います。前回までの15回にわたる講座「がん細胞の成長と生活習慣病の関連」では、概論として大まかなことがわかるように説明をしてみました。新講座では、前講座と重複もしつつ、もう少…

「最終回―総論2―」

本講座も最終回。総論の後半になります。 繰り返しになりますが、がんを叩く、打ち負かす治療は、自分の体をも叩くことになります。適切な体をつくれば、副作用が少なく、有効な治療が受けられます。 結局は、我々の分かっていないことがたくさんあり、生命…

「第14回―総論1―」

13回にわたって症例紹介をもとに説明してきました「講座:がん細胞の成長と生活習慣の関連」ですが、いよいよ残すところ2回となりました。最後の2回はまとめとして総論を書いていきたいと思います。今のがん治療の一番大きな問題点は、がん治療はバクテリア…

「第13回―トリテルペノイド類の重要性―」

今回はがん細胞の脂肪酸合成を抑制する方法について説明していきたいと思います。前回、がん細胞は脂肪酸合成が盛んであることを説明しましたが、脂肪酸合成酵素の活性を抑制してくれるものとして、どうもトリテルペノイド類や、そこに至るまでの代謝産物が…

「第12回―がん細胞は自ら脂肪酸を作る能力が高い―」

今回はがん細胞の特徴である脂肪酸合成能力の高さついて説明していきたいと思います。 がんは何で出来るのだろう?と考えると、一番はこれまでの説明の通り、生活が不規則で、自分の体を安定させるところから、逸脱するような無茶をしたときに、よく起こりま…

「第11回―医者が使いたがらないメトフォルミン―」

今回も引き続き症例の紹介をしたいと思います。 この患者さんは、リンパ節に多数転移している肺がんで手術を受けられて、「あなたは再発します」と受診のたびに担当医に言われて、僕のところに来ました。たしかにN3症例は、10人のうち9人が3年後には亡くなる…

「第10回―がんは遺伝がすべての原因ではない―」

前回まで少し難しい話が続きましたが、今回から症例の紹介を数回したいと思います。メディアや本などの情報として「がんは遺伝からくる」というようなイメージを持つ方も多いと思います。今回の患者さんは必ずしもがんになるのが遺伝から来ているわけではな…

「第9回―がん細胞を取り巻く環境2―」

前回は、がんの代謝について説明をしました。今回はその続きになります。細胞というものを考えると非常に単純な細胞でさえ、代謝のメカニズムは何千という化学反応が絡み合って、お互い協調したネットワークを作っています。したがってどこかをワンポイント…

「第8回―がん細胞を取り巻く環境1―」

今回と次回は、少し難しい話になりますが、どうかじっくりと読んでみてください。がんというものは、自分で自分の体の中に、作ったものです。患者さんは、良くおわかりかと思いますが、一般の先生は、「がんを叩きましょう」と言いますね。しかし、叩いては…