糖尿病になるとがんリスクが高まるわけ
◆ がんは炎症のかたまり
がんを引き起こすエントロピーで、体内に蓄積したエントロピーによって
体が酸化すると説明しました。
体が酸化するということは、つまり炎症状態になることです。
そして、がんこそが炎症の塊なのです。
実は炎症は、末期がんだけでなく早期がんでも見られる徴候です。
体内で炎症状態が進行しているかどうかが、
がんが進行したり再発したときのシグナルになります。
エントロピーが溜まっている体では、
がんを引き起こすもとになる活性酸素が大量に発生しています。
がん対策においては、すでに体内にある慢性炎症を
取り除くことがきわめて重要です。
◆ 糖尿病とがんの相関関係
炎症と関係がある病気はがんだけではありません。
実は糖尿病の人も肥満の人も、
体の中に慢性炎症を持っていると思ったほうがいいのです。
生活習慣病を持っていると、がんという観点から見ても
非常に危険だということを、よく認識しておきたいです。
糖尿病を例にあげてみましょう。
最近、糖尿病と悪性腫瘍とが密接に関連しているということが
明らかにされつつあります。
糖尿病により発生率が有意に上昇するとされる悪性腫瘍として、
すい臓がん、大腸がん、肝臓がん、前立腺がん、乳がん、
子宮がん、胃がんがあります。
以前から日本に多かった胃がん以外はすべて
近年増加しているがんです。
肺がんの報告がないのは、肺がんに及ぼす喫煙の影響が
大きいためと考えられます。
糖尿病歴がある男性とない男性とを比べてみると、
糖尿病のある男性はがんのリスクが27%も高くなっています。
肝臓がんに限定すると、実に2.24倍になることがわかっています。
女性の場合も、糖尿病患者さんの胃がん発病率が1.61倍、
肝臓がんが1.94倍など、有意に高くなっていることが目立ちます。
どうして糖尿病になるとがんリスクが高まるのでしょう。
糖尿病になると血中のブドウ糖が増えますが、
これが悪さをするのです。
ブドウ糖と体内のタンパク質が反応すると
HbA1cという物質ができます。
このHbA1cを放置しておくと、体内で反応を繰り返し、
最終的にはAGE(糖代謝最終産物)と呼ばれる物質が産生されます。
恐ろしいことにAGEは、ノンアルコール性の脂肪肝、
認知症のもととなるアルツハイマー病、血管障害、
悪性腫瘍、高血圧といった病気が引き起こすもととなります。
◆ 糖尿病はコントロールできる
AGEの産生を防ぐことが、
いかに重要かということが分かっていただけたかと思います。
現在の糖尿病治療は、投薬などによって
インシュリンの分泌を促す治療法が主となっていますが、
より望ましいのは、弱った膵臓ランゲルハンス島細胞を、
正しく作用・機能する健康な状態の細胞に戻すアプローチだと思います。
ビタミンCが欠乏するとランゲルハンス島が変性します。
糖尿の人はビタミンCを大量に摂取するようにしてください。
またビタミンEやレシチンがよいということも知られています。
同時に、体をインシュリンが効きやすい状態に
持っていくことも重要です。
インシュリンのはたらきを高めてくれる物質として、
GTF(ブドウ糖耐性因子)があります。
GTFの生成には、三価クロムやアミノ酸、
ビタミンB3などが必要になります。
これらの栄養素は、ビール酵母、未生成の穀類、
えび、きのこ類などに多く含まれています。
食事を通してGTFを増やすことは可能です。
このように考えてみると、
炎症体質の改善にはビタミン類の摂取が
欠かせないということが分かります。
とくにビタミンCを大量に取ることは重要です。
体を酸化させない食生活を意識することで、
糖尿病はかなりコントロールできるのではないでしょうか。
そのような食生活は、がんの予防にも大いに役立つはずです。
>> 糖尿病のKさんの体験談です
>> Kさんの症例や体調の推移はこちらになります