エントロピーとデトックス
◆ 溜り続けるエントロピー
酸素を呼吸して生きるためのエネルギーを作っている私たちは、
体を錆びさせ、老化や細胞のがん化を引き起こすきっかけとなる
活性酸素が体内に生まれることを避けられません。
これは、酸素という効率のいい物質を用いたことの
宿命ともいえるものです。
いわば酸素をエネルギーに用いた際にできる
産業廃棄物のような活性酸素が体内に蓄積していくのです。
この産業廃棄物のようなものが、
前回説明したエントロピーです。
がんを防ぎ、がんが住みにくい体質を作るためには、
エントロピーをいかに減らし、
蓄積しないようにするかが肝となります。
◆ エントロピーを排出するデトックス
そのために欠かせないのがデトックスです。
体内の有毒物質を排出する「排泄」行為には、
便と尿と汗と呼吸しかありませんが、
もっとも毒素を大量に排泄することができるのが排便です。
実に、体内に溜まった毒素の7割以上が
大便という形で排泄されるといわれています。
ここで非常に重要になってくるのが
腸内フローラと呼ばれる腸内の細菌叢の状態です。
尿や汗の量や状態をコントロールすることは
なかなか難しいですが、
腸内環境を整えることによって、
便をよりよい状態に変化させることは、
努力次第で可能でしょう。
著書『生命とは何か』の中でシュレーディンガーは、
「物質代謝の本質は、生物体が生きているときには
どうしても作り出さざるをえないエントロピーを
全部うまい具合に外へ棄てるということにあります」
と書いています。
生きている限りエントロピーが溜まってしまうことは
避けられませんが、できるだけ質のいい食べ物、
つまり酸化を遅らせる「抗酸化物質」を取ること、
そしてそれでもなおかつ溜まってしまう
エントロピーをうまく排泄する知恵が
必要になってくるでしょう。