京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

「第3回―がん細胞〜牛乳の功罪―」

今回は、前回に引き続き、がん細胞の特徴についてです。日常生活で、非常に頻繁に目にする乳製品。牛乳、チーズ、ヨーグルトなどが実はがん細胞を活性化させてしまうのだということを皆様にぜひ知っていただきたいと思います。

がん化した細胞で活性化された遺伝子の中の1つにIGF受容体(Insulin-like growth factors: インスリン様成長因子)があり、これは細胞増殖を活性化し、自己増殖的な刺激を与えます。一般的にIGFは成長ホルモンが分泌されると、肝臓で生成され、それがいろいろな細胞を元気にし、増殖させます。スポーツやエステの分野では、IGFは必要と言われますが、がんの時には、がん細胞を増殖させてしまいます。


このIGFを大量に含むのが牛乳です。『乳がんと牛乳』という本がありますが、乳がんになった女性の学者が、医者が信用できずに自分で乳がんについて調べてみると、アジアの女性には乳がんが少なく、欧米の女性に多いことが分かりました。そこでアジアの女性の食事がいいのだろうと調べた結果、牛乳が悪いのではないかということに思い当たり、牛乳を止めたところ、がんがおとなしくなってきたというものです。ちなみに、うちに来院される女性のがん患者さんは、かなり大量に乳製品を摂っています。やめなさいというと、エーッという顔をされることが多いですが、牛乳は本当に、よくがんを育ててくれます。
次回は、そんなIGFが亢進しているであろう患者さんの実例をご紹介いたします。