京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

「第4回―乳製品と甘いもの―」

今回は、乳製品が大好きで糖尿病でもある患者さんの実例をご紹介したいと思います。前回ブログ記事を参照しながら読んでいただければと思います。

この患者さんは当時77歳で、もともと糖尿は境界型でしたが、牛乳が大好きで甘いものを毎日摂っているという、典型的なIGF-1を活発にするような食事をしている方です。4年前の乳がんが最初で、手術、放射線、ホルモン剤を使われました。翌年に子宮体がんで、動脈注入の化学療法をした後、手術を受けられました。その後、写真をとると今度は胸に影ができていて、計3つのがんを3年間、毎年、治療されました。この頃に私のところに来院されて、「再発しない方法はありませんか?」と言うので、まず、乳製品や甘いものをやめなさいと伝えました。その結果、この後2年間は再発や新たながんは出ていません。典型的な食生活をしてきたことで、77歳にして、毎年がんをおこしてきたような気がします。


胸水も溜まっていましたが、体を温めたり、いろんなことに取り組んだ事で治ってきて、今は非常にお元気です。


結局のところIGF-1というものは、上図のように細胞分裂の増殖を促進させる物質で、それががん遺伝子を誘導して、がん化に繋がると言われています。これは、糖尿病の経路からも影響がありますので、糖尿病の治療も重要です。

次回は、IGF-1を止めるもう一つの方法について実例をもとに説明していきます。