京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

「第12回―がん細胞は自ら脂肪酸を作る能力が高い―」

今回はがん細胞の特徴である脂肪酸合成能力の高さついて説明していきたいと思います。



がんは何で出来るのだろう?と考えると、一番はこれまでの説明の通り、生活が不規則で、自分の体を安定させるところから、逸脱するような無茶をしたときに、よく起こります。さらに、慢性炎症があることは、非常に大きな要因となります。また、食生活が不適切で、ブドウ糖とかIGF-1が多いものを、たくさん摂ってしまう。こういう生活をしていると、体内でヒドロキシラジカルが生成され、障害が起こるのです。

 がん細胞は脂肪酸合成を細胞内で行う、ということがNATURE誌に報告されており、それを見ていくと、がん細胞の周りの環境ではpHが低く酸性で、そのため脂肪酸合成酵素の活性が増強され、抗がん剤などの細胞障害に対する抵抗力が増してしまうのです。



つまり、こういう状態を抑えなければ、いろいろながん治療が効果を発揮しない。逆にこれを抑えれば、がん治療は上手くいきますし、このような治療をすれば、多分、日本の医療費は半分くらいになると考えられます。

次回、このがん細胞の脂肪酸合成を抑制する方法について、今わかっている情報をもとに説明していきたいと思います。