京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

 2014年から北海道大学の佐邉教授に招かれて、北海道大学医学部2回生の生徒達に向けて、毎年講義をしています。今年はコロナ禍でオンライン講義でしたが、もう7回目になりました。このときの講義内容を、5回に分けてこのブログでまとめていきます。

 

  1.  がん治療に対する私の考え方
  2.  がんはなぜ発生するか
  3.  がんの特徴
  4.  がんになりにくい生活習慣
  5.  からすま和田クリニックでおこなっていること

 

 今回は第1回として、私のがん治療に対する考え方について、簡単に書いていきます。

 

 医学が生命を扱う学問であるにもかかわらず、現在の臨床医学においては、「なぜ病が生命体に生じるのか」という哲学的思考が欠けているように思っています。

 

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がんがその個体(人間)にできた理由は必ずあり、そのできた理由に従って、がんが存在しにくい環境を作り、その環境に対応した治療をすれば、現在治療困難ながんも治療の可能性が出てくるのではないかと、私は考えています。

 

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 現在のEBMエビデンス・ベイスト・メディスン)においては、Stage Ⅳ(ステージ4)や再発したがんは治らないという前提で治療を死ぬまで続けましょうという話になっています。しかし、わずかではあっても治った人はいます。その人たちは何をして治ったのかということを学び、また新しく仮説を作り、実証を試みるという形で、新しいEBMを構築する必要があるのではないでしょうか。

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次回は、がんの発生機序について、お話しします。