京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

がんが住みやすい体質が分かる「からだ力」


    私は、からだ力を向上させることを意識して
    具体的ながん治療を行っています。

    からだ力とはがんとたたかうための免疫力
    体の炎症を抑える抗酸化力 という二つの力を合わせたものです。



    がん治療においても、がん予防においても、
    からだ力をいかに高めるかということが前提となります。

    手術療法、抗がん剤療法、放射線療法などの
    標準がん治療による治療は、
    十分にからだ力を高めてから行うべきだと私は考えています。

    逆に言えば、標準がん治療が効果を発揮するかどうかは、
    からだ力が下支えしてくれるかにかかっているのです。

    抗がん剤を使うのがよいか、手術すればよいかという判断は
    まず、患者さん本人のからだ力
    どのような状態なのかということを
    数値によってしっかり見極めてから行わなくてはなりません。

    このからだ力ですが、実は簡単な血液検査によって
    知ることができるのです。

    それは
    ● 血液中の好中球とリンパ球の比率
    ● 炎症反応であるCRP

    のふたつの数値です。


    指標の目安としては、好中球とリンパ球の比率が2以下、
    できれば1.5以下が望ましい数値です。

    リンパ球数が好中球数に対して2分の1が目安なので
    たとえば好中球数が2000であればリンパ球数は1000です。

    好中球数が4000であればリンパ球数は2000となり、
    合計で白血球の総数が6000以上という
    理想的な数値になります。

    しかし、実際には抗がん剤治療中の患者さんで
    この数値を出す人はいません。

    白血球の総数が6000以上あるのは、
    いわゆる健常人の数値です。
    炎症指標であるCRP値の目安は0.05以下程度です。

    これより数値が低ければ、十分なからだ力があると考えられます。

    定期的に血液検査を行って、この数値を把握しておくと
    自分の体調がどのようになっているのかを
    明確に知ることができるのです。