京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第16回〜

前回、運動とがんの関係についてご紹介させていただきました。

今回は、乳がんについて症例を2例紹介したいと思います。


この患者さんは64歳の乳がんの方で、胸水がたまり、乳がんが自壊して潰瘍ができています。フェマーラというホルモン遮断剤と、ゾメタという骨に転移した時に受ける、ビスフォナール製剤を受けながら来院し、『どうしたら良いでしょうか?』ということでした。


この時点では、梅エキスが有効であることはわかっておりましたし、和歌山の方だったこともあり、たくさん梅エキスを摂りなさいとだけ指導しました。梅エキスを1日に15g摂取し、半年後には『先生治ったでー』と来院されました。潰瘍は治癒し、胸水も抜けて、非常に元気でした。乳がんとトリテルペノイドは、非常に相性が良いようです。


この患者さんも45歳の乳がんです。非常に不真面目な患者さんで食事指導は全然守らないし、アイスクリーム好きでケーキも食べます。7年弱前の2006年に手術を受けられましたが、肝臓にこれだけ転移してしまいました。医師からは余命3ヶ月と言われ、どうしようと駆け込んでこられました。仕方がないので梅エキス摂り、抗がん剤治療を受けるつもりなら受けなさいと指導しました。タイケルプを服用しながらエピルピシン、サイクロフォスファミド、5FUで治療を行い、肝臓の転移は全部消えました。今は元気なのですが、相変わらず不真面目で、梅エキスの量も少ないので頚部リンパ節に転移したものが大きくならないか心配です。この患者さんから、食事を上手に整えて、梅エキスを摂ることで抗がん剤が良く効くことが分かります。

ここまでで、だいぶがんと食生活との関係がおわかりいただけたかと思います。

次回からは、まとめに入っていきたいと思います。