京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

漢方薬「天仙液」によって「からだ力」が向上した末期肺がんの女性(73歳)

    今日は、漢方薬を使いながら体調を改善した
    ステージ4の肺がんの患者さんの症例を紹介します。

    この方は、余命2,3ヶ月と宣告されてから
    私のクリニックにやってきたのですが、
    抗酸化力や免疫力を高める治療を併用するがん治療により、
    9ヶ月間生きられました。

    最初入院した病院からは、「もはやできることはない」と言われ、
    ホスピスを紹介されたそうですが、
    天仙液という漢方系のがん治療薬なども使いながら
    体調を向上させ、自宅で落ち着いた闘病生活を過ごされていました。

    イレッサの副作用


    この患者さんが私のクリニックにやってきたときは、
    肺腺がんのステージ4ですでに腰骨や肋骨に転移しており、
    がん性胸膜炎によって胸水が溜まっていました。

    通常このようになった場合、余命は2、3ヶ月です。
    そのため私のクリニックに来る前通院していた病院では、
    ホスピスに入ることを勧められたそうです。

    この患者さんは通院中の病院で抗がん剤の一種である
    分子標的薬イレッサを1日1錠処方されていました。
    ところがイレッサの副作用によって口内炎に悩み、
    また指や爪の周囲がささくれて腫れ上がり、激しい痛みを感じました。

    イレッサによる治療をしたくないということで、私のクリニックに来院したのです。

    この患者さんのがんが発見された時点のリンパ球数は1580個もあり、
    かなり免疫力が保たれている状態でした。
    しかし胸水が溜まるようになるとリンパ球数は860個まで低下しましたが、
    胸水を抜くと1580個にまで戻りました。

    胸水を抜いた段階で再度イレッサを服用することにしました。
    ただし今回は、イレッサ半錠を週に2回(合計で週1錠)という分量に減らしました。
    週7錠飲んでいたときは副作用がひどかったためです。

    ◆ 天仙液を飲みはじめる


    私のクリニックに通院し始めたのと同時に、
    息子さんが見つけてきた中国で開発された
    天仙液という漢方薬を朝晩2回飲み始めました。
    天仙液は、がんに効く可能性があるということで一部で知られている薬です。

    天仙液を服用したところ、発熱したり発疹が出たりという
    さまざまな反応があったものの、
    体の中の炎症の状態を示すCRP値が徐々に下がりはじめました。
    炎症反応が下がっているということは、
    がんが住みにくい体に変わりつつある(「からだ力」が向上している)
    可能性があると判断しました。

    患者さんには、もし発熱したらたっぷり汗をかき、
    大量にアルカリ水を飲むよう指示しておきました。

    ◆ 免疫力を高めるがん治療


    通常、熱を出して病院に行くと、ロキソニンという解熱剤が処方されます。
    しかしロキソニンは免疫系を悪化させる薬なので、
    よほどのことがない限り発熱時に飲むことはすすめません。
    熱を出した場合は、汗をかいて自然に熱が冷めるのを待つことが望ましいのです。

    現在はイレッサと天仙液に加えて、雲南イチイの木のお茶、
    青梅エキス、丸山ワクチンを使用しています。
    また食事療法として玄米や野菜をメインとした
    自然食を食べるように指導していますが、
    厳格な食事療法である甲田式玄米生菜食は実践していません。
    食事の際にはビタミンCをたっぷり摂ることを意識し、
    卵やうなぎなどの良質のたんぱく質も適量食べるように勧めています。

    この患者さんは現在かなり体調が落ち着いてきており、
    マーケットに買い物に出掛けることができるようになってきました。
    ホスピスに入ることなく自宅で暮らせているということは、
    QOL(生活の質)がかなり改善されてきたといえるでしょう。


    ◆ その後の経過


    この患者さんは、治療開始後9ヶ月で亡くなりました。
    その間半年以上、良好なQOLを保ちながら日常生活を送られました。