講座:こころとからだ〜がんは自分が作ったもの〜10
前回は、人のこころと身体を捉える上での考え方について、少し詳しくご説明しました。
今回は、症例のご紹介をしたいと思います。
この症例は、昨年末にご逝去された患者さんですが、初診は約4年前で、1999年に甲状腺がんの摘出手術を行い、その後、多発肺転移となり、当クリニックに来ました。この患者さんも食事療法を中心とした治療で、その後、病状は回復し、元気に過ごしていました。
この患者さんは、当クリニックに来た頃からすでにホスピスを勧められていましたが、治療を受けた結果、3年間元気に過ごして、最終的には、ホスピスで少しの期間を過ごした後、ご逝去されました。
この患者さんからは、亡くなる5日前に手紙をいただきましたが、死期を悟ったかのような内容で穏やかな気持ちが伝わりました。
このように、人生の時間を苦しんで終えるのではなく、元気で前向きに過ごしながら天命を全うできることは、自身にとっても家族にとってもとても重要なことと思います。
その意味でも、治療に向かう姿勢や、前向きな気持ちは非常に重要で、これは患者さん自身もそうですが、家族の皆様もそのような心持ちで支えていっていただくことが肝要なのだと思います。
次回は、これまでにお見せしたような、通常では治癒は難しいと思われる状態から回復した事例に共通する要因をまとめたケリーターナー博士の書籍をご紹介します。