講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第18回〜
今回はまとめの続きです。
シュレディンガーは『命を持ったものは、いずれ灰に帰る。平衡状態から灰に帰る。我々は平衡ではなく、非平衡で、ものを取り出して排泄することで生きているので、このやり方次第で今の状態を変えることはある程度できる。健康な状態から病的な状態に行くときには、一直線に行かずに、必ず高い閾値を越えなければならない』ということを説いています。
非線形と言いますが、要するに連続的ではないということで、多数のファクターが絡むような現象は非線形であることが多いのです。ですから、健康な体とがんの体は、ゆるやかに変化するのではなく、一旦がんになると、戻すにはそうとうエネルギーを要することになります。ところが、がんになった体を健康なときと同じように治療してしまうので、治る確率が非常に少ないのです。