京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

がん細胞の数と、その数に応じた治療のめやす

    この表は、私が考える、がん細胞の数とその数に対応するがん治療法の目安です。



    たとえば耳かき一杯くらいの大きさのがん細胞の数は1000万個程度になります。
    がん細胞が一億個程度にまで増えると、小指の先ほどの大きさになります。
    がん細胞が10億個ほどになれば、がんは5センチ程度の大きさになるのです。

    このうち、免疫力だけでは退縮させることができる
    がん細胞の数は10万個から100個程度です。
    がん細胞の数が1000万個を超えると、
    免疫力だけで対応することは困難になってきます。


    患者さんの体が持っている免疫力を使って
    がんを治療するのが免疫療法ですが、
    この表を見ても分かるとおり、免疫療法だけでがん治療を行うのは
    なかなか難しいと言わざるをえません。

    抗がん剤治療を検討するとよいのは、
    がん細胞が100万個から1億個の間にあるときです。

    がん細胞が1万個から10万個を超えたあたりから
    免疫力によって抑えることができなくなります。
    そして、手術可能ながん腫瘍という形で発見されるのが、
    早くて1億個だからです。

    1億個というと膨大な数のように思えますが、
    実際には小指の先ほどの小さな腫瘍です。