「第10回―がんは遺伝がすべての原因ではない―」
前回まで少し難しい話が続きましたが、今回から症例の紹介を数回したいと思います。
メディアや本などの情報として「がんは遺伝からくる」というようなイメージを持つ方も多いと思います。今回の患者さんは必ずしもがんになるのが遺伝から来ているわけではないということを教えてくれる良い例だと思います。
この方は非常に大きながんがあり、今から5年前に手術を受けられた後、僕のところに来て、「再発したくない」と話されました。誰でも当然そう思います。
この人が僕のところに来たのにはもう一つ理由があり、44歳でがんになったこと以外に、弟が白血病、姉が胃がんで、4人兄弟のうち既に2人亡くなり、自分もがんになって、もう死ぬだろうと思ったそうです。「ヘビースモーカーで、ビール、焼肉が大好き」という生活でしたが、それを全部止めさせました。3年ほど頑張り、最近は年に2回程しか来院されませんが、再発はありません。
このような事例を見ていくと、家族遺伝子的な問題があるかどうかは結論付けることはできませんが、おそらく食生活や生活習慣の方が、大きいような気がします。