京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第12回〜

前回は、結腸癌多発肝転移の方の症例をご紹介しました。抗がん剤治療では好転しなかった病状が、ウルソール酸やオレアノール酸などのトリテルペン類を豊富に含む青梅エキスの摂取により好転するケースが少しおわかりいただけたかと思います。
今回も症例を紹介していきますが、この患者さんは73歳の男性で、耳下腺の未分化がんです。



この男性は2012年8月に頬が腫れました。PETで右の頬と肺の3箇所に黒い取り込みが見られます。頬の矢印の場所が腫瘍です。

この人は京都の方で、主治医からすぐに抗がん剤放射線治療をするといわれて来院されました。色々話を聞いた結果、まず、食事の中身をかえることになり、植物性食品を摂り、減塩をして、青梅の抽出物と紅豆杉を飲ませました。

すると来院した9月に膨らんでいた頬が、2ヶ月弱でへこみました。腫瘍マーカーも7が2.8に改善し、TPA、B-BFPも下がり、リンパ球はほとんど下がらずに、好中球が下がりました。体重も17〜18?減少しました。CTを撮り直してみますと、ほぼ腫瘍は消えており、肺の転移もなくなりました。

この人は、抗がん剤を行わずに、食事指導と梅エキスと紅豆杉で改善しています。もとの病院に行ったら、良くなっているので半年後に来なさいといわれましたが、本人が気になって3ヶ月目に撮った画像です。

このように抗がん剤を使わなくても状態がかなり改善する方は、非常に多いです。この論拠として、科学雑誌のネイチャーでも以下のように、細胞が分裂増殖するシグナルを出す遺伝子のネットワークは、ブドウ糖代謝を要求するような遺伝子群と緊密に絡みあっており、分裂増殖だけを抑えるだけでなく、栄養と代謝のほうもコントロールをしないと、がんは落ち着きませんよということが報告されています。

がんはブドウ糖を非常に好むことがここまででおわかりかと思いますが、すると、がんと並ぶ慢性疾患の糖尿病との関連性が頭に浮かんできます。次回は、この糖尿病とがんの関係についてご紹介していきたいと思います。