京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第15回〜

前回、乳癌の方の症例をご紹介しました。ここまでで紹介した症例から、がん治療において生活習慣の改善がどれだけ重要であるかがおわかりいただけたのではないでしょうか?

今回は、話を変えまして運動とがんの関係についてご紹介させていただきます。


がんの場合、p53というがんの抑制遺伝子の働きを明確にしてあげると、大きくなりにくくなります。そのためには適当な運動が重要です。

脈拍110を越えないぐらいが良いと思いますが、このような運動を取り入れると、がんに対して悪い物質を代謝・解毒し、免疫を上げることで増殖を抑えてくれます。

要するに、TIGER、PTEN、HK2、GLUTといったものは、すべて代謝酵素なのです。すなわちエネルギー分解酵素で、これらのあるものを抑え、あるものを動かすことによりp53はがん細胞を大きくさせないように働いています。Antioxidants & Redoc Signalingにはp53を増やすためには適当な運動をしなさい、と書いてあります。

適当な運動というと、それが運動の量や強度、種類など何をすれば良いのか、わかりにくいかと思いますが、要するにエネルギーをしっかり使うような運動です。種類はウォーキングや水泳、ゴルフなどでも良いと思いますし、どれか一つに絞る必要はありません。

簡単にまとめますと、
・ウォーキング、水泳などの有酸素運動
・脈拍は110程度を目指す(ウォーキングなどでしたら、運動中に手首から脈拍を15秒間測って4倍してあげれば数値が予測できます)
・一回の時間は何分でも構いませんが、最初は30分くらいからで良いと思います。
・週に2回以上はできればした方が良いです。慣れてくれば回数を増やしていけば良いと思います。だんだんと慣れてくると、毎日やることが苦ではなくなります。

次回は、話を戻しましていくつか症例紹介をしていきたいと思います