京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

『がんに効く生活』 ダヴィド・S・シュレベール著

    がんに関する書籍はたくさん刊行されていますが、
    その内容を見てみると玉石混交といった状態です。

    このブログでは、私がいいと思った内容の本を
    ときどき紹介していこうと思います。

    今回紹介するのはフランスの著名な精神分析医である
    ダヴィド・S・シュレベールによる
    『がんに効く生活』です。

    ◆ 100万部のベストセラー


    がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」


    国境なき医師団」の発起人の一人でもあるという
    輝かしい経歴を持つシュレベールが
    渾身の力を込めて著した『がんに効く生活』は
    世界各国で100万部以上も販売されています。

    残念ながら、著者のシュレベールは
    今年の7月24日に祖国フランスで亡くなりました。

    31歳で脳腫瘍が発見され、
    その後20年間、自らの闘病生活を通じて
    がんのメカニズムを解明しようと試み
    多くの人を力づけたシュレベールの
    業績は、彼が亡くなった後も
    輝きを放ち続ける
    ことでしょう。

    こちらでシュレベールのインタビュー画像を
    見ることができます。




    ◆ 統合医学でがんに挑む


    祖国を離れてアメリカ、ピッツバーグにやってきた
    シュレベールは、PETやMRIを活用することで
    脳の働きを分析し、思考のメカニズムを
    突き止めるという研究を行う精神科医として
    アメリカの学会でも注目を集める気鋭の学者でした。

    そのシュレベールに、自身の実験の最中、
    まったくの偶然によって脳腫瘍が発見されます。

    『がんに効く生活』は、アメリカの医師である
    シュレベールが、医学論文などの膨大な文献による
    豊富な知識に基づいたデータと分析

    詰め込まれている本です。

    西洋医学の知識はもちろんのこと、
    中国医学やインド医学、チベット医学などにも
    深い関心を持っていたシュレベールは、
    統合医学の観点からがんという病に
    取り組みました。


    ◆ がんに効く生活


    人間の体が本来持っている自然治癒力の発現を
    促すためのさまざまな知恵
    について
    シュレベールは詳細に説明しています。

    がんの外科手術と化学療法を受けた
    シュレベールに、主治医はこのように説明しました。

    「これといってすべきことはありません。
    普段通りの生活を続けてください」

    これに対しシュレベールは、
    がんの再発を防ぐために、
    世界各国の論文や参考文献に目を通し
    がんに効く食生活、がんに効く心の持ちかた、
    がんに効くライフスタイルは
    どのようにあるべきかということを
    考察します。

    『がんに効く生活』には、シュレベール自身が
    実践しているがんを防ぐため、治療するための
    情報がふんだんに盛り込まれています。

    ◆ さいごに


    シュレベールは、がんに関する考察の結論として
    このように語ります。

    「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を
    もっているだけではなく、
    体自身がその芽ががんに育つプロセスを
    妨げるようにつくられている。
    それを利用するかしないかは
    本人次第である」


    自らの死期を悟った晩年のシュレベールは、
    自分が命を落としたとしても、
    これまで形作ってきた彼の理論は
    十分な科学的根拠に基づいたものであるとし、
    『がんに効く生活』に盛り込んだ情報は
    多くの人に役立つだろう
    と述べていたといいます。

    20年間にわたり、勇気をもって
    がんという病に挑み続けてきた
    シュレベールの業績は、彼が亡くなった今も
    消えることはないでしょう。

    がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」

    がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」