講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第10回〜
前回に引き続き、がん細胞の特徴の一つ、脂肪酸合成を阻害する方法についてご紹介します。
がんではないですけれど、あるマウスに移植片を移植すると、ほとんど死亡するものが、ウルソール酸を摂らせた群では、全部が死亡したわけではなく、ウルソール酸は移植による炎症を抑えますという報告です。
したがって、トリテルペンはがん細胞の抑制に効果がありそうです。また、メバロチンからスクアレンというステロイドを合成する過程で、イソプレノイドというものが生成されます。これががんを抑制するということも違う論文で報告されています。イソプレノイドに良く似た働きが、オリーブオイルと椿油にあります。オリーブオイルと椿油はn9系の油で火に強いので、ある程度がんの方が摂っても大丈夫です。なんとなくオリーブオイルが好かれるのは、経験的にこういうことがあるからなのかもしれません。
スクアレンは酸素とNADPHによって酸化されることで、環状に結合するための前躯体となり、環状構造の違いによって、ステロイドとトリテルペンに分かれます。どちらかと言うと、動物系はステロイドになって、植物系はトリテルペンになります。
トリテルペンは、オタネニンジン、それからカンゾウ、柴胡という漢方薬の中のジンセノイド、グリチルリチン、サイコサポニンといったもので経験的に利用されてきました。
こういうものは抗がん作用、抗炎症作用、抗酸化作用、抗高脂血症効果などを持っているという報告があります。
では、実際に梅エキスを飲むことで本当に効果があるのか。次回は症例をご紹介したいと思います。