講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第9回〜
今回はがん細胞の特徴の一つ、脂肪酸合成を阻害する方法についてご紹介します。
この構造は難しい言葉でいうとテルペン類のひとつで、トリテルぺノイドと呼びます。テルペン類というのはどういうものかというと、メバロチン合成からステロイド骨格を合成するときのルートと同じもので、動物の方では良くステロイドが作られますが、植物の方では6つほど炭素の多い、トリテルペノイドが作られます。
ウルソール酸は、どういうものに含まれているかということを調べていくと、梅エキスに非常に多く含まれています。これが脂肪酸合成の酵素を阻害するというのは、既に分かっています。このトリテルペノイドは、ウルソール酸、オレアノール酸、ベツリン酸という形で、青梅に大量に含まれていることが分かりました。
構造はなんとなくステロイドに似ていますが、作用は全く違います。
PLoS ONEという論文誌に去年発表されたのですが、ウルソール酸は強烈な抗炎症作用をもち、NFBとか、炎症の時にAP-1とか、NF-ATの抑制をしてくるということから、ウルソール酸でこういう治療ができる、ということが書いてあります。
次回に続きます。