京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

講座:なぜがんは発生し、成長し、そして増殖するのか?〜第11回〜

前回、前々回とウルソール酸やオレアノール酸といったトリテルペン類の効果についてご紹介してきましたが、それらを豊富に含むのが青梅エキスです(私どものクリニックでは和歌山県の中野BCという会社から発売されている商品を使用しています)。今回は、実際に梅エキスを飲むことで本当に効果があるのか。症例をご紹介したいと思います。



例えば、この患者さんは64歳男性で、結腸癌から肝臓に転移しています。2008年に肺がんの手術をまず受けており、その2年後にS状結腸がんの手術を受けました。ところが、半年後に腫瘍マーカーが上がりだし、肝臓に20数個の転移を指摘され、標準的な抗がん剤治療を受けました。しかし、改善するどころか肺炎を起して、2010年11月に来院されましたが、歩くのも大変つらそうな方でした。幸いなことにKRASの変異(細胞増殖に関わるがん遺伝子の一つとされています)がないので、抗体を使った治療が可能でした。

これが肝臓の転移です。来院されたときには、正常な肝臓細胞がないくらい転移が無数にありました。そこで、『抗体を1ヶ月に1回受けなさい、それと、通常100mg前後使用する経口の抗がん剤を20mgだけ1週間飲んで1週間休むことを繰り返すように。そのかわり、食事をきちんとして食塩を制限し、紅豆杉と梅エキスをとってごらんなさい』と指導しました。


すると、肝臓の転移は半年後にほぼ消えました。腫瘍マーカーCEAも1500以上から10くらいまで下がったのですが、その後ちょっとずつ上がって、現在は200ぐらいですので再発かもしれません。

主治医からはホスピスに行くように言われ、悩んでいるところですが、梅エキスを増やしてみようか?と相談しています。肺炎も綺麗になっています。結局、QOLは良くなりましたが、最後にがんをおとなしくできるかどうかというところです。

なかなかコントロールをしていくのは難しいものですが、抗がん剤治療では治らない、改善しなかった方でもこれだけの好転をするケースはしばしばみられます。

他にも症例がいくつもありますので、次回も症例紹介をしていきます。