京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

講座:こころとからだ〜がんは自分が作ったもの〜2

前回、新講座をはじめるにあたり、がんの細胞の特徴についておさらいをしてきました。今回はその続きとして症例紹介になります。

大腸癌・多発肝転移と診断され、余命6ヶ月と言われ、私のクリニックに受診に来られました。


下左の図は、初診時で、どのような治療をしても余命半年に変わりはないと言われていましたが、食事指導と、梅エキス・亜麻仁油を摂り、抗癌剤治療を2週に1度受けた結果、右図の4ヶ月後には、転移巣はほぼ消失し、原発巣である大腸も手術をせずに残っています。


次の図は血液・尿のデータになります。抗癌剤治療を受けると副作用の症状が出る方が多いですが、きちんと身体に合う食事を摂取することで、白血球数の減少もほとんどなく免疫機能の低下を防ぐことができています。
また、大腸癌の腫瘍マーカーである癌胎児性抗原(Carcinoembryonic antigen: CEA)の値も劇的に下がっています。
 これらの結果を生み出した原因として、癌細胞が代謝・成長しにくい状況を作れたことが大きいといえます。癌細胞は、前回お話したように早くエネルギーが欲しいため、エネルギーを得る代償として乳酸を細胞に溜め、それをナトリウムと引き替えに細胞外に吐き出しますが、下の右の図のように塩分を控えめに、野菜をたくさん摂る食事によって、尿中の電解質はナトリウムが減り、カリウムが増え、結果としてpHが上昇しアルカリ性になっています。
 このような状態は血液データや尿データから読み取ることができるので、たとえ診断された結果でも言われたことを鵜呑みにするのではなく、ぜひともみなさまにも参考にしていただきたいと思います。

このように、絶望と思われた状況になってしまったとしても、しっかりと自分の身体と向き合うことで、治癒に向かう可能性は誰しもあります。重要なのは患者さん自身が希望は捨てないこと、そして我々はそのような希望を与えるとともに、いっしょになって希望を後押ししていくことだと私は考えています。

次回も、症例の紹介の続きをしていきます。