京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

講座:こころとからだ〜がんは自分が作ったもの〜6

前回は、大腸癌の方の症例を紹介しましたが、癌と糖尿病との関係が非常に深いということがよくわかる症例だったのではないでしょうか?

また、糖尿病も含め、治療には根気が要るものです。そういう意味でも、この方たちの治療へのこころの持ちようが重要そうであるということもおわかりいただけるものと思います。

では、このような方たちのこころの持ち方はいったいどのようなものなのでしょうか?
 下の図に示していますが、ただ楽観的なだけでは病巣を放置してしまいますし、積極的でも悲観的では日々の生活に支障を来します。
 ここで言いたいのは、楽観的でありつつも治療に積極的であるような精神状態が必要だと言うことです。


それは、ある意味、モノは言い様、ではあるのですが、「末期癌になったらほとんどは数年以内で死んでしまう」と捉えるのではなく、「末期癌でも全治して10年以上生きている人もいる」と捉えるような姿勢です。


実際に、下の図の症例の方も、45歳で乳癌が肺転移した方ですが、ご自身の生活習慣を見直し、食事療法を取り入れることで、少量の抗癌剤でも効果が出て、副作用無く癌細胞が縮小し始めました。


この患者さんは、その後、初診から約2年で病巣はきれいになり、抗癌剤を利用する生活からもとの日常生活に戻られました。

このように治療では、きちんと現状を見つめようとすること、自分は癌を克服して生きるのだと強く思うこと、という積極的でありつつも、楽観的な精神状態が重要なのだと思います。

次回は、治療においてこころの働きが重要であることを示す研究例を紹介します。