京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

講座:医食同源・あぶらの話7

今回は、牛乳の癌との関係についてお話します。

牛乳はどうもからだに悪いことも多いようだということは、前回の記事からおわかりいただけたのではないかと思います。



乳癌と牛乳については、ジェーン・プラントの上記の著書が非常に参考になります。

こちらは有名なデータですが、牛乳を含む(ヨーグルトやチーズなどもそうですね)乳製品の消費量が多い国では乳癌発生率が高いとされています。
これは乳癌だけでなく、同じ卵巣癌や前立腺癌なども同様で、女性特有あるいは男性特有の癌との関係性が非常に高いと考えられています。
ではなぜそのようなことが起きるのでしょうか?

実は、乳製品には、乳由来の成長因子であるIGF(インスリン様成長因子)-1というものが含まれており、牛乳は人の母乳に比べ、5-10倍多く含まれています。ちなみにインスリンは良く糖尿病との関連で名前を聞く物質ですが、実は成長ホルモンとも変わらないくらい強い成長作用を持っています。
みなさんに、考えてみて欲しいのは、本来、このような成長因子が必要なのは、成長期のこどもであって、成長期を過ぎた大人はあまり必要としないことは自明の理だということです。

次回は、みなさん聞いたことがあるかもしれませんが、トランス脂肪酸というものについてご説明していきます。