京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

講座:医食同源・あぶらの話1

今回から新講座をはじめていきたいと思います。新講座では、普段から摂りすぎなどで頭を悩ませる「油」とがんとの関係についてご紹介していきます。

油というと、みなさん何を頭に浮かべるでしょうか。

実は「油」と「脂肪」という言葉には違いがあります。バターやラードの様に室温で固形や半固形をしているものを「脂肪」といい、主として動物性の脂肪がこれにあたります。それに対して、天ぷら油やサラダ油のように室温で液体をしている脂肪を油と呼んでいます。これらを総称して、油脂と呼びますが、油脂にはさまざまな種類はあります。



油脂はそれぞれに組成が異なり、飽和脂肪酸不飽和脂肪酸、そして各種の脂肪酸が合成されてできています。
不飽和脂肪酸には、オレイン酸リノール酸、αリノレイン酸というように二重結合の数と、その位置によって名称がそれぞれ異なります。また、下図の左側末端にあたる部分をオメガといい、オメガに近い部分に二重結合があると融点が低くなります。つまり飽和脂肪酸は最も融点が高いことがわかります。

融点が高い脂肪酸は、酸化しにくいので、保存や調理に適していると言えますが、近年ではそれぞれの脂肪酸の摂取バランスが健康に及ぼす影響がわかってきています。

次回は、これら脂肪酸と代謝・病気との関連性についてご紹介していきます。